収入印紙が必要な文書と金額一覧|貼り忘れたらどうなる?

法人向け

契約書を交わすとき、領収書を発行するとき、「これは収入印紙を貼るんだっけ?」と迷ったことはないでしょうか。印紙税は、貼り忘れると本来の税額の3倍を取られることもあるうえに、その過怠税は経費にもなりません。この記事では、印紙が必要な文書と金額、貼り忘れたときの取扱いをわかりやすく解説します。

印紙税がかかるのは「課税文書」だけ

印紙税は、印紙税法で定められた20種類の文書(課税文書)にだけかかります。どんな契約書にも必要というわけではありません。

中小企業や個人事業主が実務でよく出会うのは、次の4種類です。

  • 第1号文書:不動産の売買契約書、土地の賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書(借入の契約書)など
  • 第2号文書:請負契約書(工事請負契約、システム開発、デザイン制作など)
  • 第7号文書:継続的取引の基本契約書(取引基本契約書など。名称ではなく内容で判定します)
  • 第17号文書:金銭の受取書(領収書、レシート)

領収書(第17号文書)|5万円未満は非課税

もっとも身近なのが領収書です。受取金額が5万円未満なら非課税で、印紙は不要です。

受取金額印紙税額
5万円未満非課税(不要)
5万円以上100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下600円
300万円超500万円以下1,000円
500万円超1,000万円以下2,000円

以降も金額に応じて段階的に上がり、最高で20万円です。

「営業に関しない」領収書は非課税

金額が5万円以上でも、営業に関しない受取書は非課税です。たとえば、個人が自宅を売却したときの領収書や、公益法人が発行する領収書などが該当します。

消費税額を区分すれば税抜きで判定できる

実務で効いてくるのがこれです。領収書に消費税額を区分して記載していれば、税抜金額で印紙税を判定できます。

  • 「52,800円」とだけ記載 → 5万円以上なので200円の印紙が必要
  • 「48,000円 消費税4,800円 合計52,800円」と記載 → 税抜48,000円なので印紙は不要

書き方ひとつで印紙代が変わるので、5万円前後の領収書は消費税額を区分して記載する習慣をつけておくとよいでしょう。

契約書(第1号・第2号文書)|1万円未満は非課税

不動産の売買契約書や請負契約書は、契約金額1万円未満なら非課税です。金額が上がるにつれて税額も段階的に上がり、最高60万円になります。

なお、契約金額の記載がない契約書は、一律200円です。

実務でよく間違えやすいのが、「請負」か「委任」かの区別です。仕事の完成を約束するものが請負(課税文書)、事務処理を委託するだけの委任は原則として課税されません。契約書のタイトルではなく、中身で判断されます。

継続的取引の基本契約書(第7号文書)|一律4,000円

取引基本契約書や業務委託基本契約書のうち、営業者間で売買・運送・請負などの取引を反復継続して行い、所定の基本条件を定めるものは、第7号文書として1通4,000円になります。金額の大小にかかわらず定額なのが特徴です。

ポイントは、契約書の名称ではなく、取引内容や記載事項によって判定されるという点です。「業務委託基本契約書」という名称でも、内容が委任・準委任にあたる場合は課税文書に該当しないことがあります。

また、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めがないものは除かれます。短期の契約であれば、この4,000円がかからない場合があります。

貼り忘れたらどうなる?|過怠税は最大3倍

印紙を貼らなかった場合、過怠税が課されます。金額は、いつ発覚したかで大きく変わります。

状況過怠税
調査前に自主的に申し出た本来の印紙税額の1.1倍
税務調査で指摘された本来の印紙税額の3倍
印紙は貼ったが消印を忘れた消印のない印紙の額面と同額

自主的に申し出る場合は、所轄の税務署へ「印紙税不納付事実申出書」を提出します。指摘される前に気づいたら、早めに申し出るほうが圧倒的に有利です。

過怠税は経費にならない

見落としやすい点ですが、過怠税は法人税の損金にも、所得税の必要経費にもなりません。本来なら200円で済んだものが600円になり、しかもその全額が経費にならない、というダブルの損失になります。

なお、正しく貼った印紙代は「租税公課」として経費になります

消印の押し方

印紙は貼るだけでは足りず、消印(けしいん)が必要です。印紙と文書にまたがるように、印章または署名で消します。

  • 会社の角印・代表者印のほか、担当者の認印でもよい
  • ボールペンでの署名でも有効(斜線を引くだけは不可)

消印を忘れると、印紙を貼っていても額面と同額の過怠税がかかります。貼ったら必ず消す、をセットで覚えておきましょう。

電子契約なら印紙は不要

印紙税は「文書」に課される税金です。そのため、電子契約やPDFで交付する契約書には印紙税がかかりません

領収書も同じで、電子メールでPDFを送信するだけなら、通常は印紙税の対象になりません。ただし、発行者がPDFを印刷して紙の契約書や領収書として相手へ交付した場合は、課税文書になる可能性があります。受信者が保存用に自ら印刷した場合とは区別して考えます。

継続的に高額な契約を結ぶ会社では、電子契約への移行が実質的な節税になります。第7号文書なら1件4,000円、不動産取引なら数万円単位で削減できることもあります。

間違えて貼ったときは還付を受けられる

必要のない文書に貼ってしまった、金額を間違えて多く貼った、という場合は、「印紙税過誤納確認申請書」を所轄税務署へ提出すると還付を受けられます。このとき印紙ははがさず、文書ごと税務署へ提出します。

一方、未使用の収入印紙は、郵便局で所定の手数料を支払って別の収入印紙に交換できます。ただし、現金への交換はできません。白紙や封筒など明らかに課税文書でないものに貼ってしまった印紙も、一定の手続きを経て交換の対象になる場合があります。

状況手続き先内容
未使用の印紙郵便局手数料を払って別の印紙に交換(現金化は不可)
課税文書に誤って貼った税務署印紙をはがさず文書ごと提出し、還付を受ける

なお、契約解除後の契約書や、すでに相手へ交付した領収書は、原則として還付の対象になりません。いったん課税文書として成立・交付されているためです。

まとめ

  • 印紙が必要なのは印紙税法で定められた課税文書だけ
  • 領収書は5万円未満なら不要。消費税額を区分すれば税抜きで判定できる
  • 継続的取引の基本契約書は一律4,000円(3か月以内・更新なしは除く)
  • 貼り忘れは調査前の自主申出で1.1倍、指摘されると3倍過怠税は経費にならない
  • 消印を忘れると額面と同額の過怠税
  • 電子契約なら印紙税は不要

領収書の保存については「領収書・帳簿は何年保存すればいい?」、電子データでの保存については「請求書・領収書は紙で保存してもいい?」もあわせてご覧ください。

参考

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