法人が事業用の車を購入した場合、原則として車両運搬具に計上し、耐用年数にわたって減価償却します(個人事業主が業務用の車を購入した場合も、同じく固定資産に計上して減価償却するのが原則です)。新車・中古車の違い、少額特例、社用車を私的利用する場合の注意点など、実務で迷いやすいポイントをわかりやすく解説します。
法人が車を購入した場合の基本的な考え方
車は、原則として取得価額が10万円以上であれば減価償却資産(車両運搬具)に該当します。取得価額に応じて処理が分かれます。
- 10万円未満:原則として取得した年に全額損金
- 10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年均等償却)を選択可能
- 40万円未満:要件を満たす中小企業者等は「少額減価償却資産の特例」を選択可能
- 40万円以上:原則として通常の減価償却
この40万円という基準は、2026年(令和8年)4月1日以後に取得等する資産に適用されます(それ以前の取得分は「30万円未満」が基準)。普通車など取得価額が高い車は、多くが通常の減価償却の対象になります。
新車の耐用年数
| 車種 | 耐用年数 |
|---|---|
| 普通自動車 | 6年 |
| 軽自動車 | 4年 |
| 貨物自動車(ダンプ式以外) | 5年 |
| 二輪・三輪自動車 | 3年 |
中古車の耐用年数の計算
中古車は以下の計算式で耐用年数を算出します。耐用年数が2年未満になる場合は2年とします。
- 法定耐用年数を超えている場合:法定耐用年数 × 20%(端数切り捨て)
- 法定耐用年数内の場合:(法定耐用年数 – 経過年数)+ 経過年数 × 20%(端数切り捨て)
たとえば普通乗用車(法定耐用年数6年)で3年落ちの中古車の場合:(6年 – 3年)+ 3年 × 20% = 3.6年 → 耐用年数3年(端数切り捨て)。新車より短い耐用年数となるため、早期に多くの経費を計上できます。
ただし、中古車の購入後に多額の改修・改良(その車の再取得価額の50%を超えるような場合)を行ったときは、この簡便法を使えないことがあります。その場合は通常の見積もりによる耐用年数を用います。
減価償却の方法
法人は原則として定率法で減価償却します(届出により定額法も選択可)。定率法は初年度に多く減価償却できるため、早期に経費を多く計上したい場合に有利です。
なお、減価償却は購入した日ではなく、実際に事業で使い始めた日(事業供用日)から計算します。年度の途中で使い始めた場合は、使用月数に応じた月割計算になります。
中小企業の少額減価償却資産の特例
青色申告をしている中小企業者等(資本金1億円以下などの要件あり)は、取得価額が40万円未満(2026年4月1日以後に取得する分。それ以前は30万円未満)の減価償却資産を取得した場合、取得した年度に全額損金算入できます。ただし、その年度の少額減価償却資産の合計額300万円が上限です。中古の軽自動車など、取得価額が40万円未満におさまる車を購入する場合に活用を検討しましょう。
仕訳例
| 場面 | 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両購入時(税込330万円) | 車両運搬具 300万円 / 仮払消費税 30万円 | 現金預金 330万円 | - |
| 年度末の減価償却(定率法・耐用年数6年の場合) | 減価償却費 | 車両運搬具 | 償却額 |
社用車を役員が私的利用する場合の税務上の注意点
「家事按分」は、主に個人事業主が自分の車を事業とプライベートで分けるときの考え方で、法人が所有する社用車では基本的に家事按分という処理は行いません。法人所有の車を役員が私的に使った場合、その私用部分は役員への経済的利益(現物給与)と認定される可能性があります。
- 私的利用を禁止し、業務専用とする(社内規程で明確化)
- 業務用・私用別の走行記録を保存し、業務利用の実態を示す
- やむを得ず私的利用する場合は、役員から私用分の適正な利用料を受け取る
私的利用があるのに何も対応しないと、給与認定や役員賞与(損金不算入)と判断されるリスクがあります。
まとめ
法人が車を購入する際は、新車・中古車の耐用年数・減価償却方法・少額特例の活用を検討しましょう。特に中古車は耐用年数が短くなるため早期に多くの減価償却費を計上できます。ただしこれは税金が減るというより課税の繰延べ(将来へ税負担を先送りする)効果である点に注意が必要です。また、車を売却したときに帳簿価額より高く売れれば売却益が発生し、課税対象になります。社用車を私的利用する場合は、給与認定を避ける対応(私用禁止・走行記録・利用料の徴収など)を行いましょう。



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