メールで届いた請求書、AmazonやネットショップのPDF領収書、クラウド会計ソフトの明細——これらを紙に印刷して保存していませんか?実は、電子帳簿保存法の改正により、電子でやり取りした書類は電子データのまま保存することが義務付けられています。この記事では、個人事業主が最低限知っておくべき「電子取引データ保存」の基本をわかりやすく解説します。
電子取引データ保存とは
電子帳簿保存法では、取引に関する書類の保存方法を3つに区分しています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトで作成した帳簿・書類を電子で保存 |
| スキャナ保存 | 紙の領収書などをスキャンして電子保存 |
| 電子取引データ保存 | 電子でやり取りした取引情報を電子のまま保存(義務) |
令和6年1月1日以後は、電子取引データを電子データのまま保存することが義務化されています。紙に印刷して保存するだけでは原則として要件を満たしません。ただし、一定の事情がある場合には、税務調査時に電子データを提示・提出できることを条件に、検索要件などが不要となる猶予措置も設けられています。
紙で保存してはいけないの?
結論からいうと、電子でやり取りした書類は紙に印刷するだけでは保存要件を満たしません。電子データのまま保存することが義務です。紙に印刷して参考として手元に置くこと自体は否定されませんが、電子データを削除してしまうと法律違反になります。保存の主体はあくまでも「電子データ」です。
電子取引に該当するものの例
- メール添付のPDF請求書・領収書(取引先から送られてきたもの)
- AmazonやネットショップのWeb領収書(購入後にダウンロードするもの)
- クラウド請求書サービス(freee請求書、Misocaなど)で受け取ったもの
- クレジットカードの電子明細(Web上でのみ確認できるもの)
- EDI取引・インターネットバンキングの振込明細
- 電子契約サービス(クラウドサイン等)で締結した契約書
一方、最初から紙でやり取りしたもの(郵送の請求書など)は対象外です。
電子取引データ保存の要件
電子取引データを保存するには、①真実性の確保と②検索機能の確保の2つの要件を満たす必要があります。
①真実性の確保
保存したデータが改ざんされていないことを証明するため、以下のいずれかの措置が必要です。
- タイムスタンプを付与する:受領後おおむね7営業日以内に付与
- 訂正・削除の履歴が残るシステムを利用する:クラウド会計ソフト等で履歴が確認できるもの
- 事務処理規程を定めて運用する:訂正・削除を行わないことを社内ルール化する方法。国税庁サイトにサンプルあり
個人事業主には「事務処理規程を定める」方法が最も手軽でコストもかかりません。
②検索機能の確保
保存したデータを「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索・確認できる状態にする必要があります。具体的には以下のいずれかで対応できます。
- ファイル名に「日付・金額・取引先」を入れる(例:20260401_山田商事_55000.pdf)ことでフォルダ管理でも対応可能
- 検索機能があるシステムや会計ソフトで管理する:freee・マネーフォワード等の書類管理機能を活用
売上高5,000万円以下の事業者の特例:基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務調査の際に税務職員から求められたときに、電子取引データをダウンロードして提示・提出できるようにしていれば、検索機能の確保は不要とされています。
実務的な保存方法
① フォルダ管理で対応する場合
- 「年月_取引先名_金額」の形式でファイル名を統一する
- 年ごと・月ごとにフォルダを作成して保存する
- 事務処理規程を作成して運用する(改ざん防止のため)
② 会計ソフトで対応する場合
freee・マネーフォワード・弥生などの会計ソフトには、電子取引データを添付・管理できる機能があります。仕訳と一緒にデータを保存できるため、管理がシンプルになります。
よくある質問
Amazonの購入履歴はどうすればいい?
Amazonの注文履歴ページから領収書PDFをダウンロードして保存します。ダウンロードしたファイルに日付・金額・取引先名を入れてフォルダに保存しましょう。
クレジットカードの明細はどうすればいい?
Web明細(電子での閲覧・提供)の場合は電子データ保存の対象です。月次の明細PDFをダウンロードして保存することをおすすめします。紙の明細書が郵送されている場合は、その紙が証拠書類になります。なお、カード明細だけでは購入した商品・サービスの内容が分からないことがあります。経費性を説明するため、カード明細に加えて購入先の領収書・請求書・注文履歴なども保存しておきましょう。
PDFが出ない場合はどうすればいい?
AmazonなどでPDF形式の領収書が発行されない場合もあります。その場合は、取引情報が確認できる注文確認ページ・購入履歴画面をPDF化またはスクリーンショットで保存する方法が考えられます。取引の内容・金額・日付が確認できる状態で保存しておくことが重要です。
保存期間はどのくらい?
電子取引データも通常の書類と同様、法人は原則7年間(欠損金がある年度は10年間)、個人事業主は5年または7年間保存が必要です。
まとめ
電子でやり取りした請求書・領収書は、電子データのまま保存することが法律上の義務です。紙に印刷するだけでは要件を満たしません。フォルダ管理や会計ソフト活用でシンプルに対応できます。まずはメールやWebからダウンロードしたPDFを一か所にまとめ、ファイル名に日付・金額・取引先を入れる習慣から始めてみてください。



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