会社を設立するとき、意外と悩むのが「決算月を何月にするか」です。個人事業主は12月末決算と決まっていますが、法人は決算月を自由に決められます。そして決算月の選び方は、節税のしやすさや資金繰りに意外と大きく影響します。この記事では、決算月の決め方のポイントと、後から変更する方法をわかりやすく解説します。
決算月は自由に決められる|3月決算にする義務はない
日本では3月決算の会社が多いですが、これは官公庁や学校の年度に合わせた慣習で、中小企業が3月決算にしなければならない理由はありません。決算月(事業年度)は定款で定めるもので、設立時に自由に選べます。
決算月を決める5つの視点
① 繁忙期と決算作業を重ねない
決算月の前後は、棚卸や決算資料の準備で事務作業が増えます。本業の繁忙期と重なると負担が大きいため、閑散期に決算が来るように設定するのが基本です。
② 売上のピークを期首に持ってくる
売上が大きい月が期末近くにあると、利益の着地が読みにくく、決算直前では節税対策が間に合いません。売上のピークが期首(決算月の翌月あたり)に来るようにすると、1年かけて利益を見ながら対策を打てます。決算前の具体的な対策は「個人事業主が使える節税対策6選」など当ブログの節税記事も参考にしてください。
③ 納税資金の時期を考える
法人税・消費税の納付期限は決算日から2ヶ月後です。賞与の支払月や仕入代金の決済が集中する月と納税が重ならないよう、資金繰りカレンダーを意識して選びましょう。
④ 在庫が少ない月にする
決算では実地棚卸が必要です。在庫商売の場合、在庫が最も少なくなる月を決算月にすると棚卸の手間が大きく減ります。
⑤ 税理士の繁忙期を避ける
3月決算と12月決算(+個人の確定申告期)は税理士事務所の繁忙期です。あえて外すと、決算の相談にじっくり時間を取ってもらいやすくなります。
設立1期目は「なるべく長く」も定番
設立直後は、資本金1,000万円未満で一定の要件を満たす場合、原則として設立1期目・2期目は消費税が免税となることがあります。そのため、たとえば7月設立で6月決算にして1期目をできるだけ長く取る決算月を選ぶことは、実務上よくある考え方です。
ただし、資本金1,000万円以上、特定新規設立法人に該当する場合、インボイス登録をする場合などは免税にならないため注意が必要です。また、法人の事業年度は通常1年を超えることができないため、設立1期目も最長でおおむね12ヶ月です。
決算月は後から変更できる|手続きは意外と簡単
決算月の変更に登記は不要で、手続きは次の2ステップです。
- 株主総会で定款変更を決議する(事業年度は定款の記載事項のため)
- 税務署・都道府県・市区町村に「異動届出書」を提出する(添付書類は提出先により異なりますが、定款変更後の定款や株主総会議事録の写しを求められることがあります)
なお、合同会社の場合は、株主総会ではなく、定款の定めに従って社員の同意により事業年度を変更します。
変更した年度は1年未満の変則決算になります。たとえば3月決算を9月決算に変えると、その年は4月〜9月の6ヶ月決算となり、決算が1回増える点には注意しましょう。
また、決算月を変更すると、その年度は通常より短い事業年度になります。法人税・消費税の申告期限、中間申告の判定、地方税の均等割、役員報酬の定期同額給与の判定などにも影響するため、変更前に税理士へ確認しておくと安心です。
まとめ
決算月は「繁忙期を避ける」「売上のピークを期首に」「納税と資金繰りの重なりを避ける」「在庫の少ない月」「税理士の繁忙期を外す」の5つの視点で選びましょう。すでに設立済みでも、株主総会の決議と異動届出書の提出だけで変更できます。決算月の見直しは、それ自体が立派な経営改善です。



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