インボイスがない領収書は経費にできる?消費税と所得税の違いを解説

インボイス

インボイス(適格請求書)がない領収書・請求書を受け取った場合、「経費にできないの?」と心配になる方も多いと思います。実は、消費税(仕入税額控除)と所得税・法人税(経費計上)では扱いが異なります。この記事でわかりやすく解説します。

消費税と所得税で扱いが違う

税目インボイスありインボイスなし
消費税(仕入税額控除)控除できる原則控除できない(経過措置あり)
所得税・法人税(経費計上)経費にできる経費にできる

重要なポイントは、所得税・法人税の経費計上はインボイスの有無と関係がないということです。所得税・法人税では、インボイスがない領収書でも、事業に必要な支出であることが説明でき、領収書・レシート・支払明細などを保存していれば、経費として計上できます。

消費税の仕入税額控除はどうなる?

消費税の計算(原則課税)では、仕入先からインボイスをもらわないと、原則として仕入税額控除ができません。ただし、現在は経過措置があります。

期間インボイスなし仕入れの控除割合
令和5年10月1日〜令和8年9月30日仕入税額の80%を控除可
令和8年10月1日〜令和11年9月30日仕入税額の50%を控除可
令和11年10月1日以降控除不可

なお、簡易課税や2割特例を選択している事業者は、インボイスの保存が仕入税額控除の要件になりません。みなし仕入率で計算するため、インボイスの有無は消費税の計算に影響しません。ただし、所得税・法人税の経費計上のためには、インボイスの有無にかかわらず、領収書・レシート等の保存が必要です。

インボイスが不要な取引もある

以下の取引はインボイスがなくても仕入税額控除が認められます(帳簿への記載が必要です)。

  • 税込3万円未満の公共交通機関(電車・バス・船)の運賃
  • 一定の自動販売機・自動サービス機による税込3万円未満の取引
  • 郵便切手類のみを対価とする郵便サービスで、郵便ポストに投函されるもの
  • 一定の入場券等で使用時に回収されるもの
  • 従業員や役員に支給する通常必要な出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当

小規模事業者の少額特例

また、一定規模以下の事業者については、令和11年9月30日までの間、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる「少額特例」があります。

この少額特例は、前々年(前々事業年度)の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象です。日常のこまかな支出(コンビニや自動販売機など)で、インボイスをもらい忘れた場合でも安心して仕入税額控除できます。

実務上の対応

  • 所得税・法人税の経費計上:インボイスの有無にかかわらず、領収書・レシート等を保存して経費計上できます
  • 消費税の処理(原則課税):インボイスあり・インボイスなし・80%経過措置・50%経過措置・少額特例など、取引ごとに税区分を分けて会計ソフトに入力する必要があります
  • 簡易課税・2割特例の方:インボイスの有無を消費税計算で気にする必要はありません。ただし、所得税・法人税の経費資料として領収書等の保存は必要です

まとめ

インボイスがない領収書でも、所得税・法人税の経費計上は問題なくできます。影響があるのは消費税の仕入税額控除のみです。一定規模以下の事業者は少額特例(税込1万円未満・令和11年9月30日まで)も活用できます。簡易課税や2割特例を選択している方はインボイスの有無を消費税計算で意識する必要はありませんが、所得税・法人税のために領収書等の保存は必要です。原則課税の方は経過措置の期間と控除割合、会計ソフトの税区分入力を確認しておきましょう。

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