インボイス制度の3割特例とは?2027〜2028年の消費税負担をわかりやすく解説

インボイス

インボイス発行事業者の登録を受けたことにより、免税事業者から課税事業者となった個人事業主の方へ。

「2割特例が終わったら次はどうなるの?」

そんな疑問にお答えします。令和9年分・令和10年分(2027年・2028年)の確定申告では、「3割特例」という新たな軽減措置が使えます。

3割特例とは?

3割特例のスケジュール図
出典:国税庁「インボイス制度について」をもとに作成

3割特例とは、インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業主が、令和9年分・令和10年分の消費税の確定申告において、納付税額を売上税額の3割とすることができる特例です。

制度適用期間(個人事業主)納税額
2割特例令和5年10月〜令和8年分の確定申告売上消費税の20%
3割特例令和9年分・令和10年分の確定申告売上消費税の30%

2割特例の適用期間について

令和5年(2023年)10月1日以後にインボイス登録により課税事業者となった場合、登録した課税期間から令和8年分(2026年分)の確定申告まで、2割特例を適用できます。

対象者の条件

以下をすべて満たす個人事業主が対象です。

① インボイス(適格請求書)の登録事業者である

② 基準期間の課税売上高が1,000万円以下である
もともと消費税の免税事業者だった方が対象です。

③ インボイス登録により免税事業者から課税事業者となった方

対象にならないケース

次のような場合は、3割特例を使えません。

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた年(もともと課税事業者になる方)
  • 「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になっていた方(インボイス登録が理由ではないため)
  • 特定期間の課税売上高・給与等支払額により課税事業者となる場合

特に②は見落としやすいポイントです。設備投資の還付を受けるために課税事業者を選択していた方などは、対象から外れることがあります。

なお、売上が伸びて基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は特例が使えなくなります。年によって使える・使えないが変わる点にご注意ください。

具体的な計算例

年間売上500万円(税抜)のフリーランスを例に比べてみましょう。

通常の申告(原則課税)

売上消費税額:500万円 × 10% = 50万円
仕入消費税額(経費の消費税):仮に10万円
納税額:50万円 − 10万円 = 40万円

2割特例(〜令和8年)

売上消費税額:500万円 × 10% = 50万円
納税額:50万円 × 20% = 10万円

3割特例(令和9年・令和10年)

売上消費税額:500万円 × 10% = 50万円
納税額:50万円 × 30% = 15万円

制度納税額通常との差額
通常申告40万円
2割特例10万円▲30万円
3割特例15万円▲25万円

2割特例から3割特例に移ることで、この例では年間5万円の負担増になります。売上規模が大きいほど差も広がるため、令和9年分に向けて資金計画を見直しておきましょう。

経費が少ない業種は特に有利

フリーランスやコンサルタントなど経費が少ない業種では、3割特例は特に有利です。簡易課税制度のサービス業(みなし仕入率50%)と比較すると:

制度売上500万円の場合の納税額
3割特例15万円
簡易課税(サービス業)25万円

3割特例の方が10万円有利です。

業種別の比較

業種簡易課税のみなし仕入率簡易課税での納税割合3割特例と比べて
卸売業(第1種)90%10%簡易課税が有利
小売業(第2種)80%20%簡易課税が有利
製造業等(第3種)70%30%ほぼ同じ
飲食店等(第4種)60%40%3割特例が有利
サービス業等(第5種)50%50%3割特例が有利
不動産業(第6種)40%60%3割特例が有利

目安として、卸売業・小売業の方は簡易課税、サービス業・飲食業・不動産業の方は3割特例が有利になりやすい傾向です。ただし、大きな設備投資を予定している年は原則課税が有利になることもあります。

手続きは必要?

2割特例と同様、事前の届出は不要と考えられます。確定申告書にその旨を付記して適用する形になる見込みです。

また、年ごとに適用するかどうかを選べる点も2割特例と同様です。設備投資が多い年は原則課税で還付を受け、翌年は3割特例に戻す、といった使い分けができます。

※具体的な手続きや記載方法は、国税庁から今後示される案内をご確認ください。

令和11年(2029年)以降はどうなる?

3割特例が終わると、原則課税か簡易課税かを選ぶことになります。

ここで注意が必要なのが、簡易課税を選ぶには事前の届出が必要という点です。原則として、適用を受けたい課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。

令和11年分から簡易課税を使いたい場合、令和10年12月31日までに届出が必要になります。「特例が終わってから考えよう」では間に合わないため、令和10年のうちに判断しておくことが大切です。

簡易課税の仕組みは「消費税の簡易課税制度とは?みなし仕入れ率と原則課税との比較」で詳しく解説しています。

まとめ

  • 3割特例は令和9年分・令和10年分(2027年・2028年)の確定申告が対象
  • 納付税額を売上税額の30%とすることができる
  • 経費の少ないフリーランス・サービス業に特に有利
  • 課税事業者選択届出書を出していた方は対象外
  • 令和11年(2029年)以降の申告方法は、令和10年12月31日までに判断・届出が必要

※本記事の情報は執筆時点のものです。税制改正により内容が変更される場合があります。具体的な税務処理については、税理士にご相談ください。

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参考

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