「インボイス登録したら消費税をいくら払うの?」という疑問に、売上別のシミュレーションでお答えします。2割特例・簡易課税(第5種・サービス業)・原則課税の3パターンで比較します。
前提条件
- 消費税率:10%(標準税率)
- 原則課税の仕入率:税抜売上に対する課税仕入れ・課税経費の割合を20%と仮定
- 簡易課税:第5種(サービス業・みなし仕入率50%)。基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、原則として事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に選択できます
- 2割特例:令和8年分まで適用可(個人事業主)
- 3割特例:令和9年分・令和10年分(個人事業主・要件を満たす方)
- ※2割特例・3割特例は、インボイス登録により免税事業者から課税事業者になった方など、一定の要件を満たす場合に利用できます。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるなど、もともと課税事業者となる方は対象外です
売上500万円(税込550万円)の場合
| 計算方法 | 計算式 | 納税額の目安 |
|---|---|---|
| 2割特例(〜令和8年分) | 50万円×20% | 約10万円 |
| 3割特例(令和9・10年分・個人のみ) | 50万円×30% | 約15万円 |
| 簡易課税(第5種) | 50万円×(1−50%) | 約25万円 |
| 原則課税(仕入20%) | 50万円−10万円 | 約40万円 |
売上1,000万円(税込1,100万円)の場合
| 計算方法 | 計算式 | 納税額の目安 |
|---|---|---|
| 2割特例(〜令和8年分) | 100万円×20% | 約20万円 |
| 3割特例(令和9・10年分・個人のみ) | 100万円×30% | 約30万円 |
| 簡易課税(第5種) | 100万円×(1−50%) | 約50万円 |
| 原則課税(仕入20%) | 100万円−20万円 | 約80万円 |
売上1,500万円(税込1,650万円)の場合
| 計算方法 | 計算式 | 納税額の目安 |
|---|---|---|
| 2割特例(〜令和8年分) | 150万円×20% | 約30万円 |
| 3割特例(令和9・10年分・個人のみ) | 150万円×30% | 約45万円 |
| 簡易課税(第5種) | 150万円×(1−50%) | 約75万円 |
| 原則課税(仕入20%) | 150万円−30万円 | 約120万円 |
※売上税額は税込売上÷1.1×0.1で計算。地方消費税・端数処理により実際の金額は異なります。あくまで概算の目安としてご参照ください。
業種によって簡易課税の有利・不利が変わる
みなし仕入率が高い業種ほど簡易課税が有利になります。
- 卸売業(第1種・90%):売上税額の10%だけ納付。実際の仕入率が90%未満なら簡易課税が有利
- サービス業(第5種・50%):売上税額の50%を納付。実際の経費が少ない場合は簡易課税でも負担が大きい
- 不動産業(第6種・40%):みなし仕入率が最も低く、原則課税との差が大きくなりやすい
まとめ
令和8年分までは2割特例が最も納税額を抑えられます。令和9年分・令和10年分は、要件を満たす個人事業主であれば3割特例が次に有利です。令和11年分以降は、業種ごとのみなし仕入率と実際の課税仕入率を比較し、簡易課税を選ぶか原則課税にするかを早めに検討しましょう。簡易課税を選択する場合は、原則として事前の届出が必要です。毎年の税負担の試算は、顧問税理士や会計ソフトのシミュレーション機能で確認することをおすすめします。
なお、売上が同じでも、外注費・広告費・家賃・仕入れなど課税仕入れが多い業種では、原則課税の方が有利になる場合があります。一方、経費が少ないサービス業では、2割特例・3割特例・簡易課税の方が有利になりやすいです。



コメント