個人事業主が廃業するときの手続きと税金|廃業届・最後の確定申告をわかりやすく解説

確定申告

事業をたたむとき、あるいは法人成りして個人事業を終了するときには、税務署への届出と「最後の確定申告」が必要です。廃業時には、廃業した年だけ使える経費の特例もあり、知らないと損をすることもあります。この記事では、個人事業主が廃業するときの手続きと税金をわかりやすく解説します。

税務署に提出する届出一覧

届出書提出期限
個人事業の開業・廃業等届出書廃業した年分の確定申告期限まで
青色申告の取りやめ届出書取りやめようとする年分の確定申告期限まで
給与支払事務所等の廃止届出書廃止から1か月以内
事業廃止届出書(消費税)事由が生じた後、速やかに

2026年1月1日以後の廃業については、廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)や青色申告の取りやめ届出書の提出期限が、従来の「廃業から1か月以内」ではなく、廃業した年分の所得税の確定申告期限までに変更されています。たとえば2026年中に廃業した場合は、原則2027年3月15日までです。給与を支払っていた場合の給与支払事務所等の廃止届出書は、従来どおり廃止から1か月以内に提出します。

このほか、都道府県税事務所にも事業廃止の申告(個人事業税関係)が必要です。名称や期限は自治体によって異なるため、所在地の都道府県税事務所のサイトで確認しましょう。

最後の確定申告(所得税)はいつ・どうやる?

年の途中で廃業しても、確定申告は1月1日から12月31日までを対象として行います。事業所得については、廃業日までに発生した売上・経費に加え、廃業後に回収した売掛金や、廃業に伴って生じた費用なども確認します。申告期限は通常どおり翌年2月16日〜3月15日です。

このとき忘れやすいのが個人事業税の見込控除です。個人事業税は翌年に課税されるため、通常なら廃業後に納付する分を経費にできなくなってしまいます。そこで、廃業した年に限り、その年の事業税の見込額を必要経費に算入できる特例が認められています。

消費税の最後の申告も必要

消費税の課税事業者は、廃業しても最後の消費税申告が必要です。個人事業者の課税期間は、年の途中で廃業した場合でも原則として1月1日から12月31日までで、申告・納付期限は翌年3月31日です。

インボイス登録事業者が廃業する場合は、「登録取消届(適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書)」ではなく、「事業廃止届出書」を提出します。事業廃止届出書を出すと、消費税の課税事業者およびインボイス登録の効力も、事業廃止日の翌日に失効する取扱いとなります。

廃業後にかかった費用も経費にできる

廃業後に発生・確定した費用も、事業を廃止した後に生じた必要経費の特例により、廃業した年(またはその前年)の必要経費に算入できます。具体的には次のような費用です。

  • 店舗・事務所の原状回復費
  • 設備の撤去費
  • 在庫処分費
  • 廃業後に確定した損害賠償金や貸倒損失 など

これらの費用が廃業後に確定した場合は、廃業年またはその前年の所得を再計算し、必要に応じて更正の請求を行う仕組みです。廃業後の領収書も捨てずに保存しておきましょう。

在庫や事業用資産が残っている場合

残った資産を処分・転用するときは、その種類によって所得区分が変わります。

  • 商品・材料などの棚卸資産の売却や自家消費 → 事業所得として計算
  • 事業用の車両・機械などの固定資産の売却益 → 原則として譲渡所得として計算(土地・建物は分離課税となるため区分に注意)

また、法人成りの場合は、在庫や資産を法人へ売却・引き継ぐ処理が発生します。詳しくは「法人成りしたときの資産・借入金・在庫の引き継ぎ方」の記事も参考にしてください。

予定納税がある場合は減額申請を

前年の所得が大きく、予定納税の通知が来ている場合、廃業により所得が減る見込みなら予定納税額の減額申請ができます(第1期・第2期分は7月15日まで、第2期分のみは11月15日まで)。放置すると資金繰りを圧迫するので、早めに手続きしましょう。

まとめ

廃業時は「廃業届など税務署・都道府県への届出」と「所得税・消費税の最後の申告」がセットです。2026年以後の廃業届・青色取りやめ届の期限は確定申告期限までに変わっている点、事業税の見込控除や資産の種類による所得区分(棚卸資産=事業所得/固定資産=譲渡所得)を押さえ、予定納税があれば減額申請も忘れずに行いましょう。

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