青色申告には、現行で最大65万円(令和9年分以後は、一定の電子申告・電子帳簿保存の要件を満たす場合に最大75万円)の特別控除など大きなメリットがありますが、適用を受けるには事前に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。この記事では、提出期限と、間に合わなかった場合の対応をわかりやすく解説します。
青色申告ができるのは、不動産所得・事業所得・山林所得がある人です。副業であっても、事業所得として申告する場合や不動産所得がある場合は、青色申告の対象になります。
青色申告承認申請書の提出期限
- すでに事業をしている方:青色申告を受けたい年の3月15日まで
- 新規開業した方:開業日から2か月以内
- 1月1日〜1月15日に開業した方:その年の3月15日まで
たとえば5月1日に開業した場合は、6月30日までに提出すれば、その年から青色申告ができます。
開業日別の期限早見表
| 開業日 | 提出期限 | その年から青色申告できるか |
|---|---|---|
| 1月10日 | 3月15日 | ○ |
| 2月1日 | 4月1日 | ○ |
| 5月1日 | 6月30日 | ○ |
| 9月15日 | 11月14日 | ○ |
| 12月1日 | 翌年1月31日 | ○ |
1月16日以降に開業した場合は「開業日から2か月以内」、1月15日までに開業した場合は「3月15日まで」と、基準が分かれる点に注意してください。
なお、期限が土日・祝日にあたる場合は、翌開庁日が期限になります。
開業初年度に間に合わなかった場合
開業から2か月の期限を過ぎてしまった場合、その年は青色申告ができず、白色申告になります。青色申告特別控除や純損失の繰越控除(赤字の繰越)などの特典は受けられません。
ただし、あきらめる必要はありません。翌年分から青色申告に切り替えることができます。その場合は、翌年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。
初年度が白色になると、いくら損する?
所得400万円・所得税率20%の方が65万円控除を使えなかった場合、おおよその影響は次のとおりです。
- 所得税:65万円 × 20% = 約13万円
- 住民税:65万円 × 10% = 約6.5万円
- 合計で年間およそ19.5万円の差
※概算です。実際の税額は所得や控除の状況によって異なります。
さらに、開業初年度は赤字になりやすい時期でもあります。白色申告では純損失を3年間繰り越せないため、翌年以降の黒字と相殺できないという影響も出ます。書類1枚の提出忘れとしては、決して小さくない金額です。
提出を忘れないためのポイント
- 開業時は「開業届」と「青色申告承認申請書」をセットで同時に提出するのがおすすめ
- 一度提出すれば、毎年自動的に青色申告が適用される(毎年の提出は不要)
- 提出は税務署窓口・郵送・e-Taxのいずれでも可能
- 家族に給与を支払って経費にしたい場合は、別途「青色事業専従者給与に関する届出書」も必要
開業時にあわせて出しておきたい届出
| 書類 | 提出期限 | 目的 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 開業から1か月以内 | 開業の届出 |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 開業から2か月以内 | 青色申告の適用 |
| 青色事業専従者給与に関する届出書 | 開業から2か月以内 | 家族への給与を経費にする |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設から1か月以内 | 従業員を雇う場合 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時 | 源泉税の納付を年2回にする |
開業届の期限(1か月)と青色申告承認申請書の期限(2か月)は別々です。ただ、実務上は同じタイミングでまとめて提出するのが確実です。
控えは必ず保管してください。金融機関の融資や補助金の申請で、開業届の控えを求められることがあります。e-Taxで提出した場合は「受信通知」を保存しておきましょう。
65万円控除を受けるには別の要件もある
青色申告承認申請書を期限内に提出しても、それだけで必ず65万円控除が受けられるわけではありません。65万円控除を受けるには、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して、期限内に確定申告を行う必要があります。
さらに、e-Taxによる電子申告または一定の電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。これらを満たさない場合でも、青色申告自体はできますが、控除額は55万円または10万円になります。
| 控除額 | 必要な条件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告+e-Tax申告または優良な電子帳簿保存 |
| 55万円 | 複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告(紙で提出) |
| 10万円 | 上記を満たさない場合(簡易簿記など) |
期限後申告になると、65万円・55万円控除は使えず10万円になります。申請書を出していても、申告が遅れると控除額が下がる点に注意してください。
よくある質問
申請書を出しましたが、承認の通知は来ますか?
原則として通知は届きません。その年の12月31日までに却下の通知がなければ、承認されたものとみなされます(みなし承認)。不安な場合は、提出時の控えを保管しておきましょう。
青色申告が取り消されることはありますか?
あります。2年連続で期限後申告になった場合や、帳簿書類の保存がない場合、税務署の指示に従わない場合などは、承認が取り消されることがあります。取り消されると、再申請しても一定期間は承認されないことがあるため注意が必要です。
法人成りしたら、また申請が必要ですか?
必要です。個人の青色申告と法人の青色申告は別の制度なので、法人設立後に改めて「青色申告の承認申請書」を提出します。法人の場合は、設立から3か月を経過した日と最初の事業年度終了日のうち、いずれか早い日の前日までが期限です。
まとめ
青色申告承認申請書は「開業から2か月以内」または「適用を受けたい年の3月15日まで」が提出期限です。初年度に間に合わなくても翌年分から切り替えられますが、その年の節税メリットは受けられません。開業届とセットで早めに提出しておきましょう。
青色申告のメリット全般は「青色申告って何がお得?わかりやすく徹底解説」、赤字を繰り越す仕組みは「赤字は何年繰り越せる?青色申告の純損失の繰越控除」もあわせてご覧ください。



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