金(ゴールド)を売ったら税金はいくら?譲渡所得の計算方法と確定申告の注意点

確定申告

金(ゴールド)の価格が上昇を続けるなか、「持っている金を売って利益が出たら税金はどうなる?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。金の売却益は譲渡所得として課税されますが、保有期間によって税負担が大きく変わります。この記事では、計算方法から確定申告の注意点までわかりやすく解説します。

金の売却益は「譲渡所得」として課税される

個人が金地金(ゴールドバー)や金貨などを売却して得た利益は、譲渡所得に分類されます。株式の譲渡所得(申告分離課税・税率20.315%)とは異なり、総合課税の対象となるため、給与所得など他の所得と合算して税率が決まります。

つまり、所得が高い方ほど税率も高くなるのが特徴です。所得税・住民税を合わせると最高で約55%の税率が適用されることもあります。

保有期間で税負担が変わる

譲渡所得は保有期間によって「短期」と「長期」に分かれ、課税のされ方が異なります。

区分保有期間課税対象となる金額
短期譲渡所得5年以下譲渡所得の全額
長期譲渡所得5年超譲渡所得の1/2

長期保有の場合は課税対象が半分になるため、5年超保有してから売却するほうが税負担を抑えられます

判定は取得した日から売却した日までの期間で行います。5年をわずかに超えるかどうかという場合は、売却時期をずらすだけで税額が半分になることもあるため、購入日を必ず確認しましょう。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得は次の計算式で求めます。

譲渡所得 = 売却収入 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除(最大50万円)

  • 売却収入:金を売った金額(消費税込みの受取額)
  • 取得費:購入時に支払った金額(消費税込み)。購入時の領収書・取引明細で確認します。不明な場合は売却収入の5%を概算取得費として使えます。
  • 譲渡費用:売却にかかった手数料など
  • 特別控除:年間最大50万円(短期・長期の合計で50万円。他の譲渡所得がある場合は合算して50万円が上限)

計算例:6年保有した金を売却した場合

  • 取得費(購入額):100万円
  • 売却収入:200万円
  • 保有期間:6年(長期)
  • 譲渡所得:200万円 − 100万円 = 100万円
  • 特別控除後:100万円 − 50万円 = 50万円
  • 長期なので1/2:50万円 × 1/2 = 25万円が課税対象

この25万円が他の所得(給与所得など)に上乗せされ、累進税率で課税されます。

短期・長期で比べるとどれくらい違う?

同じ「利益100万円」でも、保有期間で課税対象が変わります。

短期(5年以下)長期(5年超)
譲渡益100万円100万円
特別控除後50万円50万円
課税対象50万円25万円
税額(所得税20%+住民税10%の場合)約15万円約7.5万円

5年を超えるかどうかで、税額がおおむね半分になります。

取得費がわからないときは要注意

購入時の資料がない場合、売却収入の5%を取得費とすることが認められています。ただし、実際には高く買っていた場合でも5%しか差し引けないため、税負担は非常に重くなります。

200万円で売却し取得費が不明なら、取得費は10万円とみなされ、譲渡益190万円で計算されてしまいます。購入時の計算書・領収書は必ず保管してください。相続で受け取った金についても、亡くなった方が購入したときの資料を探すことが大切です。

200万円超の売却は税務署に把握される

貴金属業者は、1回の売却金額が200万円を超える場合、支払調書を税務署に提出する義務があります。「バレないだろう」と申告を怠ると税務調査の対象になる可能性があるため、確定申告は必ず行いましょう。

なお、200万円以下に分割して売却すれば支払調書は提出されませんが、申告義務がなくなるわけではありません。意図的に分割して申告を逃れようとすれば、重加算税の対象になるおそれもあります。

確定申告が必要なケース

給与所得者(会社員)であっても、金の売却で利益が出た場合は確定申告が必要です。ただし、次の場合は申告不要になります。

  • 売却益が特別控除50万円以内に収まる場合(かつ他に譲渡所得がない場合)
  • 給与所得者で、金の売却を含む各種所得の合計が20万円以下の場合(住民税申告は別途必要)

「20万円ルール」は所得税だけの取扱いです。住民税には20万円ルールがないため、市区町村への申告が必要になる点にご注意ください。詳しくは「副業の確定申告はいくらから必要?20万円ルール」もご覧ください。

金ETF・純金積立の場合は?

金の現物(地金・金貨)ではなく、金融商品として保有している場合は取り扱いが異なります。

  • 金ETF(上場投資信託):株式と同じ申告分離課税(税率20.315%)。NISAの成長投資枠で保有している場合は非課税。
  • 純金積立・金投資口座:契約内容によって課税関係が異なります。現物の金地金を取得して売却する場合は譲渡所得となる一方、金投資口座・金貯蓄口座などは金融類似商品の収益として20.315%の源泉分離課税となる場合があります。契約内容を確認しましょう。

よくある質問

損が出た場合、他の所得と相殺できますか?

金地金の売却損は、原則として他の譲渡所得(総合課税)とのみ相殺できます。給与所得や事業所得との損益通算はできません。また、株式の譲渡益とも通算できません。

同じ年に何度も売った場合は?

年間の合計で計算します。特別控除50万円も年間で1回だけです。短期と長期の両方がある場合は、短期の譲渡益から先に特別控除を差し引きます。

事業として金を売買している場合は?

営利を目的として継続的に売買している場合は、譲渡所得ではなく事業所得または雑所得になります。この場合、5年超で1/2になる取扱いや50万円の特別控除は使えません。

相続でもらった金の保有期間はいつから?

相続や贈与で取得した場合、原則として亡くなった方(贈与した方)が取得した日を引き継ぎます。相続してすぐ売っても、元の所有者が5年超保有していれば長期譲渡所得になります。

まとめ

  • 金の売却益は総合課税の譲渡所得(株とは異なる)
  • 5年超保有なら課税対象が1/2に
  • 年間50万円の特別控除がある
  • 取得費がわからないと売却額の5%しか引けない
  • 200万円超の売却は税務署に通知される

金の売却益は総合課税の譲渡所得として課税され、保有期間5年超であれば課税対象が1/2になります。また年間50万円の特別控除が使えるため、少額の利益であれば税負担がゼロになるケースもあります。

200万円超の売却は税務署に通知されるため、必ず確定申告を行いましょう。取得時の領収書・取引明細は大切に保管しておくことが重要です。申告方法や計算が不安な場合は、顧問税理士にご相談ください。

参考

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