iDeCo(個人型確定拠出年金)に2026年12月から大きな制度改正が予定されています。拠出限度額の引き上げ、加入可能年齢の拡大など、節税を考えている方には見逃せない内容です。この記事では、改正のポイントをわかりやすく解説します。
今回の改正の主なポイント(2026年12月施行予定)
| 項目 | 現行 | 改正後 |
|---|---|---|
| 自営業者等の拠出限度額 | 月額68,000円 | 月額75,000円 |
| 会社員・公務員等の拠出限度額 | 加入状況により異なる | 月額62,000円に統一 |
| 受給開始年齢 | 60歳〜75歳 | 変更なし |
| 加入可能年齢 | 原則65歳未満など | 70歳未満へ拡大予定 |
①拠出限度額の引き上げ
自営業者等(第1号被保険者)の拠出限度額は、現行の月額68,000円から75,000円に引き上げられます。国民年金基金等との合算での上限引き上げであり、年間では最大90万円(現行81.6万円)の掛金が全額所得控除の対象になります。
会社員・公務員等(第2号被保険者)については、企業型DC・DBとの合算で月額62,000円に統一されます。現行は加入する企業年金の種類によって上限が異なっています。公務員など、確定給付型の他制度を併用する方のiDeCo拠出限度額は、2024年12月から月額20,000円に引き上げられていますが、今回の改正では、企業年金等との合算枠が月額62,000円に見直される方向です。
②受給開始年齢は変更なし(すでに75歳まで選択可能)
iDeCoの老齢給付金は、すでに60歳から75歳までの間で受給開始時期を選択できます(2022年4月改正で拡大済み)。今回の改正では、受給開始年齢の拡大ではなく、主に拠出限度額や加入可能年齢の見直しがポイントです。
③加入可能年齢の拡大
これまでiDeCoに加入できるのは原則65歳未満(国民年金被保険者)まででしたが、改正によって70歳未満まで拡大される予定です。60歳以降も働く方が増えるなか、より長く積み立てを続けやすくなります。
節税効果はどう変わる?
iDeCoの掛金は全額小規模企業共済等掛金控除の対象で、所得税・住民税の両方から控除されます。拠出限度額が上がると、その分だけ節税効果も大きくなります。
会社員の場合、現在のiDeCo拠出限度額は勤務先の企業年金の有無などによって異なります。たとえば企業年金がない会社員は現行月額23,000円ですが、改正後に月額62,000円まで拠出できる場合、増加分は月額39,000円です。所得税率20%・住民税率10%の方であれば、年間約14万円の節税効果増加が見込まれます。
自営業者の節税額シミュレーション(改正後・月75,000円)
| 課税所得 | 所得税率 | 年間の節税額(年90万円拠出) |
|---|---|---|
| 200万円 | 10% | 約18万円 |
| 400万円 | 20% | 約27万円 |
| 700万円 | 23% | 約30万円 |
| 1,000万円 | 33% | 約39万円 |
※所得税率+住民税10%で計算した概算です。復興特別所得税は考慮していません。
所得が高い方ほど節税効果が大きくなるのがiDeCoの特徴です。課税所得400万円の方なら、年90万円を積み立てて約27万円が戻ってくる計算になります。
小規模企業共済・NISAとの使い分け
個人事業主が使える主な制度は3つあります。それぞれ性格が異なるため、優先順位を考えて使い分けます。
| iDeCo | 小規模企業共済 | NISA | |
|---|---|---|---|
| 掛金の所得控除 | あり | あり | なし |
| 上限(改正後) | 月75,000円 | 月70,000円 | 年360万円 |
| 引き出し | 原則60歳以降 | 廃業・退任時など | いつでも |
| 元本割れ | 運用商品による | 20年未満の任意解約で発生 | あり |
| 運用益 | 非課税 | 予定利率1%程度 | 非課税 |
両方の掛金を上限まで使えば、年間で最大174万円(改正後)が所得控除になります。ただし、資金が長期間拘束されるため、事業の運転資金とのバランスが重要です。
詳しくは「個人事業主に最適な節税手段!小規模企業共済の仕組みとメリット」もあわせてご覧ください。
受け取るときの税金にも注意
iDeCoは「拠出時・運用時は非課税、受取時に課税」という仕組みです。受け取り方によって税負担が変わります。
| 受け取り方 | 所得区分 | 使える控除 |
|---|---|---|
| 一時金(一括) | 退職所得 | 退職所得控除 |
| 年金(分割) | 雑所得 | 公的年金等控除 |
| 併用 | 両方 | 両方 |
多くの場合、一時金で受け取って退職所得控除を使うほうが有利です。退職所得控除は加入年数が20年以下なら「40万円×年数」、20年超なら「800万円+70万円×(年数−20年)」で計算します。
ただし、会社の退職金とiDeCoの一時金を近い時期に受け取る場合、退職所得控除が重複して使えないことがあります。この重複期間の判定ルールは令和7年度税制改正で見直され、令和8年1月1日以後に受け取る一時金から、より長い期間を空ける必要があります。会社員の方や、法人の役員退職金を予定している方は、受け取る順序とタイミングを事前に検討してください。
注意点
- 施行は2026年12月予定:詳細は今後の政令・規則で確定するため、最新情報をご確認ください。
- 受取時には課税される:iDeCoの受取金は退職所得または雑所得として課税されます。一時金・年金・併用によって税負担が変わるため、受取前に確認が必要です。
- 60歳まで原則引き出し不可:途中解約は原則できません。生活費には充てられない資金で積み立てましょう。
- 運用リスクがある:元本確保型以外の商品は運用成績によって受取額が変動します。
- 手数料がかかる:加入時に約2,800円、毎月171円以上の口座管理手数料が必要です。金融機関によって差があるため、比較して選びましょう。
- 所得がないと節税効果はない:赤字の年や、控除で課税所得がゼロになる方は、掛金の所得控除メリットを受けられません。
よくある質問
掛金は途中で変更できますか?
年1回変更できます。また、資金繰りが厳しくなった場合は、掛金の拠出を一時停止(運用指図者になる)することも可能です。ただし停止中も口座管理手数料はかかります。
国民年金基金との併用はできますか?
できます。ただし合算での上限となるため、国民年金基金や付加保険料を払っている場合、その分だけiDeCoの枠が減ります。
確定申告ではどう処理しますか?
個人事業主の場合、掛金は経費ではなく所得控除(小規模企業共済等掛金控除)です。年末に届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して申告します。会社員は年末調整でも手続きできます。
まとめ
- 2026年12月から、自営業者は月75,000円、会社員・公務員等は月62,000円へ
- 加入可能年齢は70歳未満まで拡大予定
- 掛金は全額所得控除。所得が高いほど節税効果が大きい
- 受け取り時の課税、特に退職金との受給タイミングに注意
- 原則60歳まで引き出せないため、余裕資金で
2026年12月のiDeCo改正では、拠出限度額の引き上げ・加入可能年齢の拡大が予定されており、特に公務員や会社員にとって大きなメリットになります。掛金上限が上がるほど節税効果も高まるため、老後の資産形成を考えている方は早めに制度内容を確認しておくことをおすすめします。詳細は金融機関や顧問税理士にご相談ください。



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