小規模企業共済に加入していると、掛金の範囲内で無担保・無保証人で借入ができます。これを「貸付制度」といいます。
「節税のために掛金を積み立てているが、いざというときに使えないのでは?」という不安を持つ方も多いですが、貸付制度を活用すれば、積み立てた掛金を担保に素早く資金調達ができます。
この記事では、小規模企業共済の貸付制度の種類・限度額・金利・手続きの流れを、実際に借入をした体験をもとにわかりやすく解説します。
小規模企業共済の貸付制度とは?
小規模企業共済の貸付制度とは、中小機構(中小企業基盤整備機構)が運営する低金利の融資制度です。
通常の銀行融資と異なり、審査が不要で担保や保証人も必要ありません。積み立てた掛金が担保の代わりになるため、窓口での手続きはわずか30分程度で完了し、資金を受け取ることができます。
なお、貸付はあくまで「借入」であり、掛金そのものを引き出す解約とは異なります。借り入れた金額は返済が必要です。
貸付の種類は7種類
小規模企業共済の貸付制度には、目的や状況に応じた7種類があります。
| 貸付の種類 | 主な対象・用途 | 金利(年) |
|---|---|---|
| ①一般貸付 | 事業資金(用途自由) | 1.5% |
| ②緊急経営安定貸付 | 経済環境の急変・売上減少時 | 0.9% |
| ③傷病災害時貸付 | 疾病・負傷・災害時 | 0.9% |
| ④福祉対応貸付 | 自宅のバリアフリー改修等 | 0.9% |
| ⑤創業転業時・新規事業展開等貸付 | 創業・転業・新事業への取組み | 1.5% |
| ⑥事業承継貸付 | 後継者が事業引継ぎを行う場合 | 1.5% |
| ⑦廃業準備貸付 | 共済契約者が廃業を準備する場合 | 0.9% |
金利は年1.5%または0.9%と、銀行の事業者向け融資と比べてかなり低い水準です(2025年時点)。
貸付限度額はいくら?
貸付限度額は、掛金納付月数や掛金総額をもとに中小機構が算定します。掛金総額の一定割合が目安になりますが、固定ではありません。正確な金額は、毎年3月頃に送付される「掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ」で確認できます。
一般貸付の上限は最大2,000万円、それ以外の貸付は最大1,000万円です。
【実例】
掛金総額:206万円
貸付限度額:130万円(お知らせに記載の金額)
利息はいくら?
一般貸付の金利は年1.5%です。利息は借入時に前払いで差し引かれる形になります。
【計算例】130万円を1年間借りる場合
利息:1,300,000円 × 1.5% = 19,500円
実際に手元に入る金額:1,300,000円 − 19,500円 = 1,280,500円
返済期間(半年か1年か等)によって利息額は変わります。窓口でタブレットを使って返済期間を選ぶと、その場で利息が計算されます。
実際の手続きの流れ(体験談)
実際の貸付手続きは、商工中金など所定の取扱窓口で行います。貸付の種類によって手続き先や必要書類が異なるため、事前に中小機構または取扱窓口に確認しましょう。
以下は、取扱窓口で一般貸付の手続きをした際の流れです。
- 窓口で「借入をしに来た」と伝える
受付で用件を伝えると、担当者がタブレットを持ってきます。 - タブレットで条件を選択する
・借入金額(限度額の範囲内で選択)
・返済期間(半年・1年など)
質問に答えると金銭消費貸借契約書が自動で作成されます。 - 契約書に実印を押印
内容を確認して実印を押します。なお、金銭消費貸借契約書には収入印紙が必要です。130万円の借入の場合は2,000円でした。借入額によって印紙税額が異なるため、事前に確認しておきましょう。 - 利息を差し引いた金額を受取
その場で利息が計算され、差し引いた金額が振り込まれます。
所要時間:約30分でした。
持参するもの
- 掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ(毎年3月頃に届く書類)
- 印鑑証明書
- 実印
- マイナンバーカード(本人確認書類)
- 収入印紙(借入額に応じた金額。130万円の場合は2,000円)
※貸付の種類によって必要書類が異なる場合があります。事前に中小機構または取扱窓口に確認することをおすすめします。
返済方法の注意点
一般貸付は、借入期間満了時に元金を一括返済する方式が基本です。返済時期に資金を用意できるか、事前に確認しておくことが大切です。
また、返済が遅れると延滞利子が発生するほか、将来受け取る共済金から貸付残高が控除される場合があります。貸付中に解約した場合も、貸付残高が共済金から差し引かれます。
節税と資金調達を同時に実現できる
小規模企業共済の最大のメリットは、掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になることです。
さらに貸付制度を使えば、積み立てたお金を解約せずに低金利で借り入れることができます。
- 掛金を払い続けることで節税効果が継続する
- 急な資金需要には貸付で対応できる
- 解約(共済金受取)よりも手元の積立額が減らない
- 銀行融資のような信用審査が不要
銀行融資の審査に時間がかかる状況や、担保を持ちたくない個人事業主・法人役員にとって、非常に使い勝手の良い制度です。
注意点
- 加入期間が12ヶ月未満の場合は貸付を受けられません
- 一般貸付は期間満了時に元金を一括返済するのが基本
- 返済が遅れると延滞利子が発生し、共済金から控除される場合があります
- 貸付中に解約すると、貸付残高が共済金から差し引かれます
- 借入時に収入印紙が必要になる場合があります
- 金利・限度額・返済期間は変更される場合があります。申込前に中小機構の公式サイトで最新情報をご確認ください
まとめ
小規模企業共済の貸付制度のポイントをまとめます。
- 掛金をもとに算出した限度額まで無担保・無保証人で借りられる(最大2,000万円)
- 金利は年0.9%〜1.5%と低水準、利息は前払いで差し引かれる
- 手続きは商工中金など取扱窓口で行い、約30分で完了
- 持参物は「お知らせ・印鑑証明書・実印・マイナンバーカード」
- 一般貸付は期間満了時に一括返済が基本
- 節税しながら、いざというときの資金調達にも使える
小規模企業共済は「節税のため」に加入するケースが多いですが、貸付制度も含めてトータルで活用することで、事業の資金繰りにも役立てることができます。
掛金の控除額や節税効果については、「個人事業主に最適な節税手段!小規模企業共済の仕組みとメリットを解説」もあわせてご覧ください。



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