旅費規程・日当で節税|役員への日当を非課税で経費にする仕組みと注意点

法人向け

「出張のたびに経費精算が面倒」「役員への手当をうまく節税に使いたい」——そんな悩みを解決する方法が旅費規程の整備です。社内規程として旅費・日当の基準を定めるだけで、役員や従業員に支払う日当を非課税で経費にできる、シンプルかつ効果的な節税策です。

旅費規程とは

旅費規程とは、役員・従業員が出張する際に支給する交通費・宿泊費・日当(出張手当)の基準を定めた社内規程です。金額や支給条件をあらかじめ規程に明記しておくことで、出張のたびに領収書を集めなくても、定額の日当を支払うことができます。

日当は役員にも従業員にも支給でき、受け取った側には所得税がかかりません。また会社側は全額を損金(経費)として計上できます。この二重のメリットが旅費規程の節税効果を生み出します。

なぜ節税になるのか

通常、会社から役員・従業員にお金を渡すと、受け取った側に所得税・住民税がかかります。しかし旅費規程に基づいて支給される日当は、税法上「旅費」として非課税とされています(所得税法第9条)。

つまり、日当として支払えば:

  • 会社側:全額を損金算入できる(法人税が減る)
  • 受け取った役員・従業員側:所得税・住民税がかからない
  • 社会保険料の対象にもならない

役員報酬として支払うと所得税・社会保険料がかかりますが、日当として支払えばそのまま手元に残ります。この差が節税効果になります。

節税効果の計算例

月に10日出張する役員が、1日あたり5,000円の日当を受け取る場合:

  • 年間の日当総額:5,000円 × 10日 × 12ヶ月 = 60万円
  • 会社の損金:60万円(法人税率30%なら約18万円の節税)
  • 役員の手取り:60万円(所得税・住民税ゼロ)

同じ60万円を役員報酬として上乗せすると、所得税・住民税・社会保険料で3〜5割程度が差し引かれます。日当として支給することで、その負担をまるごと節約できます。

旅費規程に定める項目

旅費規程は特定の書式が法律で決まっているわけではありませんが、以下の項目を明記しておくことが重要です。

  • 適用対象:役員・正社員・パートなど、支給対象者の区分
  • 出張の定義:何km以上または何時間以上の移動を「出張」とするか
  • 日当の金額:役職・国内外・日帰り/宿泊別の金額
  • 交通費・宿泊費の取り扱い:実費精算か定額支給か
  • 支給手続き:出張報告書の提出など

日当の金額設定の目安

日当の金額は「社会通念上相当な金額」である必要があります。過度に高額な日当は、税務調査で役員報酬と認定されるリスクがあります。一般的な目安は以下のとおりです。

対象国内出張国外出張
役員3,000円〜5,000円5,000円〜10,000円
従業員(管理職)2,000円〜4,000円3,000円〜6,000円
従業員(一般)1,000円〜2,000円2,000円〜4,000円

同業他社の水準や会社の規模・業種・役職に応じた合理的な金額を参考に設定するとよいでしょう。役員と従業員で差をつけること自体は問題ありませんが、その差が合理的である必要があります。

注意点

  • 規程が実態と一致していること:旅費規程を作っても実際に出張していなければ認められません。出張報告書や移動記録など、実態を示す書類を残しておきましょう。
  • 実費との二重払いに注意:交通費・宿泊費を実費精算している場合に、さらに同じ費用の日当を支給すると二重払いとなり問題になります。日当の対象範囲を規程で明確にしてください。
  • 金額が過大でないこと:役員への日当が著しく高額な場合、税務調査で「実質的な役員報酬」と判断され、定期同額給与のルール違反として損金不算入になるリスクがあります。
  • 株主総会・取締役会での承認:旅費規程は会社の正式な社内規程として、取締役会や株主総会で承認・議事録に残しておくと安心です。

まとめ

旅費規程の整備は、社内規程を整備するだけで導入できる、シンプルな法人節税策です。日当として支給することで、会社の損金を増やしながら、役員・従業員の手取りを所得税・社会保険料なしで増やすことができます。

ただし、実態のない出張や過大な金額は税務調査のリスクになります。社会通念上の水準を守り、出張の実績をしっかり記録したうえで活用しましょう。顧問税理士に相談しながら規程の内容を整えることをおすすめします。

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