夏のボーナス(賞与)は、支給額がそのまま手取りになるわけではありません。税金と社会保険料が差し引かれ、手取りはおおよそ支給額の75〜85%程度になるのが一般的な目安です。この記事では、賞与から何がいくら引かれるのかをわかりやすく解説します。
賞与から差し引かれるもの
| 項目 | 差し引かれる? |
|---|---|
| 健康保険料 | ○ |
| 厚生年金保険料 | ○ |
| 介護保険料(原則40歳以上65歳未満) | ○ |
| 雇用保険料 | ○ |
| 源泉所得税 | ○ |
| 住民税 | ×(賞与からは引かれない) |
住民税は前年の所得に対して計算され、毎月の給与から12回に分けて天引きされるため、賞与からは差し引かれません。介護保険料は原則として40歳以上65歳未満の方が対象で、65歳以上は徴収方法が変わります。
社会保険料の計算方法
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、標準賞与額(支給額の1,000円未満を切り捨てた金額)を基に計算し、原則として会社と本人が折半します。
一方、雇用保険料は賞与の総支給額に労働者負担率を掛けて計算し、会社と本人の負担率は異なります(折半ではありません)。また、雇用保険料の計算では1,000円未満を切り捨てません。
本人負担の保険料率のおおまかな目安は次のとおりです。保険料率は加入する健康保険(協会けんぽの都道府県別・健康保険組合)や年度によって異なります。
- 健康保険料:約5%(40歳以上65歳未満は介護保険料が上乗せされ約6%)
- 厚生年金保険料:9.15%
- 雇用保険料(一般の事業・2026年度):0.5%(農林水産・清酒製造・建設業は0.6%)
2026年4月1日以後に支給する賞与には、2026年度の新しい雇用保険料率を使用します。
なお、標準賞与額には上限があります。健康保険は4月1日から翌年3月31日までの年度累計573万円、厚生年金は1か月あたり150万円を超える部分には保険料がかかりません。
源泉所得税の計算方法
賞与の源泉所得税は、毎月の給与とは計算方法が異なります。前月の給与(社会保険料控除後)の金額と扶養親族等の数をもとに「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で税率を求め、社会保険料を差し引いた後の賞与額に掛けて計算します。
税率は、扶養控除等申告書を提出しているか(甲欄/乙欄)、扶養親族等の数、前月の社会保険料控除後の給与によって決まります。前月の給与が高い人ほど、賞与に適用される税率も高くなる仕組みです。なお、前月に給与の支払いがない場合や、賞与が前月給与の10倍を超える場合は、別の方法(月額表を使った計算)によります。
手取り額の計算例
【例】賞与40万円、35歳(介護保険なし)、扶養控除等申告書を提出済み(甲欄)・扶養親族等0人、前月給与30万円の場合(税率・料率は一例です)
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 賞与支給額 | 400,000円 |
| 健康保険料(約5%) | △20,000円 |
| 厚生年金保険料(9.15%) | △36,600円 |
| 雇用保険料(0.5%) | △2,000円 |
| 所得税の計算対象 | 341,400円 |
| 源泉所得税(税率4.084%の場合) | △13,941円 |
| 手取り額 | 約327,459円(約82%) |
所得税は、(400,000-20,000-36,600-2,000)× 4.084% = 13,941円(1円未満切捨て)となります。
ただし、健康保険料率や前月給与の社会保険料額によって税率区分が変わる可能性があります。実際の金額は、加入する健康保険の料率、年齢、扶養の状況、前月給与によって変わりますので、必ず2026年分の源泉徴収税額表で確認してください。
社会保険に加入していない人の扱い
すべての従業員から一律に社会保険料を控除するわけではありません。健康保険・厚生年金の被保険者でない短時間労働者などには、これらの保険料がかからない場合があります。また、雇用保険の被保険者でなければ雇用保険料も控除しません。
賞与の所得税は年末調整で精算される
賞与から源泉徴収される所得税はあくまで概算です。年末調整の対象者は、年間の給与・賞与を基に所得税額を精算します。源泉徴収額が多ければ還付されますが、少なければ追加徴収されることもあります。
なお、年の途中で退職した人など、年末調整の対象にならない場合は、確定申告で精算することがあります。
会社側の処理と手続き
- 従業員への賞与は原則として損金(法人税の計算上の経費)になる
- 会社負担分の社会保険料は「法定福利費」として処理する
- 賞与から控除した源泉所得税・社会保険料は「預り金」で処理する
- 賞与支払届を年金事務所(日本年金機構)へ提出する(支給日から5日以内)
- 賞与支払予定月に支給しなかった場合は「賞与不支給報告書」を提出する
- 年4回以上支給する賞与は、原則として標準報酬月額の対象になる
なお、役員への賞与は、事前確定届出給与の届出をしていなければ原則として損金になりません。従業員の賞与とは扱いが大きく異なるため注意が必要です。また、未払計上する決算賞与を損金算入するには、別途の要件を満たす必要があります。
まとめ
- 賞与からは社会保険料と源泉所得税が引かれ、手取りは支給額の75〜85%程度が一般的な目安
- 住民税は賞与からは引かれない
- 健康・介護・厚生年金は標準賞与額×料率を会社と折半、雇用保険は総支給額×労働者負担率で折半ではない
- 雇用保険料率(一般の事業・2026年度)は本人負担0.5%
- 所得税は前月給与をもとにした税率で計算され、年末調整で精算される
- 社会保険に加入していない人は保険料が控除されない
- 役員賞与は事前確定届出給与の届出がないと損金にならない
手取り75〜85%はあくまで一般的な目安です。高額賞与、前月給与が高い人、扶養控除等申告書を提出していない人などは75%を下回ることがあり、反対に所得税率が低い人や社会保険に加入していない人は85%を上回ることもあります。



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