「毎年、税金が高くて手元にお金が残らない」「節税できると聞いたけど、何から始めればいいかわからない」
そんな悩みを持つ個人事業主の方は多いと思います。実は、知っているかどうかだけで、年間数十万円の差が出ることもあります。
この記事では、個人事業主が今すぐ使える節税対策を6つ、税理士がわかりやすく解説します。難しい知識は不要です。ひとつずつ確認していきましょう。
① 青色申告特別控除を活用する
個人事業主の節税の基本中の基本です。青色申告を行うと、最大65万円を所得から差し引くことができます。
65万円の控除を受けるには、複式簿記による記帳と、e-Taxでの申告または電子帳簿保存が条件です。少しハードルがあるように聞こえますが、現在は会計ソフトを使えば複式簿記も自動で対応できます。
簡易的な記帳の場合でも10万円の控除が受けられますが、65万円と比べると大きな差があります。まだ青色申告をしていない方は、最優先で取り組む価値があります。
課税所得が500万円の方が65万円の控除を受けると、所得税・住民税合わせて約20万円程度の節税になります。
➡ 詳しくはこちら:青色申告って何がお得?わかりやすく徹底解説
② 経費をもれなく計上する
事業に関係する支出は、きちんと経費として計上することが節税の基本です。意外と見落とされがちな経費には以下のようなものがあります。
- 自宅で仕事をしている場合の家賃・光熱費(按分)
- スマートフォンや通信費(事業使用分)
- 書籍・セミナー参加費などの研修費
- 仕事用の車の維持費・ガソリン代(按分)
「これは経費になるの?」と迷ったときは、「事業のために使ったかどうか」が判断の基準になります。プライベートと混在している場合は、使用割合に応じて按分することで一部を経費にできます。
経費が増えるほど課税所得が減り、税金が下がります。領収書やレシートはこまめに保管し、もれなく計上する習慣をつけましょう。
➡ 詳しくはこちら:経費にできるもの・できないものの判断基準をわかりやすく解説
③ 小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する個人事業主向けの退職金制度で160万人以上が加入しています。
最大の特徴は、毎月の掛金が全額所得控除になる点です。月1,000円〜70,000円の範囲で自由に設定でき、年間最大84万円まで積み立てられます。
【節税効果の例】
課税所得500万円の方が月3万円(年36万円)積み立てた場合:
- 所得税・住民税の合計税率:約30%
- 節税額:約10万8,000円
積み立てたお金は廃業・引退時に退職金として受け取れます。受け取り時も退職所得として扱われるため、税負担が軽くなります。「節税しながら将来の備えもできる」一石二鳥の制度です。
注意点として、加入から20年未満での任意解約は元本割れする可能性があります。長期的に積み立てることを前提に活用しましょう。
➡ 詳しくはこちら:小規模企業共済で節税しながら将来に備える方法
④ iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
iDeCoは、老後の資産形成をしながら節税できる国の制度です。毎月一定額を積み立て、運用しながら60歳以降に受け取ります。
個人事業主がiDeCoに加入できる掛金の上限は月68,000円(年81万6,000円)です。この掛金が全額所得控除になるため、高い節税効果があります。
【小規模企業共済との違い】
| 小規模企業共済 | iDeCo | |
|---|---|---|
| 目的 | 退職金の積立 | 老後資産の形成 |
| 掛金上限(月) | 70,000円 | 68,000円 |
| 運用 | なし(固定) | 自分で運用商品を選ぶ |
| 受取開始 | 廃業・引退時 | 原則60歳以降 |
両方に加入することも可能です。掛金の合計が控除されるため、利益が多い年ほど節税効果は大きくなります。ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です。
➡ 詳しくはこちら:iDeCoで個人事業主が節税する方法
⑤ ふるさと納税を活用する
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすることで、住民税・所得税が控除される制度です。返礼品としてその地域の特産品などを受け取れるため、実質的な節税として人気があります。
控除を受けるには、確定申告またはワンストップ特例制度(個人事業主は確定申告が必要)での手続きが必要です。
控除できる上限額は年収や家族構成によって異なりますが、自己負担額は2,000円のみという点が大きな魅力です。上限額を超えた分は控除されないため、事前に計算して寄附額を決めましょう。
各ふるさと納税サイトでシミュレーションできるので、年末の節税対策として毎年確認することをおすすめします。
➡ 詳しくはこちら:個人事業主のふるさと納税完全ガイド
⑥ 医療費控除を申請する
1年間(1月〜12月)に支払った医療費が10万円を超えた場合、超えた分を所得から差し引ける制度です。生計を同じにする家族全員分の医療費を合算できます。
対象となる主な医療費は以下のとおりです。
- 病院・歯科の診療費
- 処方された薬代
- 入院費(差額ベッド代は除く)
- 通院のための交通費(電車・バス)
市販の風邪薬や予防接種は原則対象外ですが、一定の条件を満たす市販薬は「セルフメディケーション税制」で控除対象になる場合があります。
医療費の領収書は1年分まとめて保管しておく習慣をつけましょう。確定申告で申請するだけで税金が戻ってきます。
番外編:利益が大きくなったら法人化も検討を
上記6つの対策を実施しても、事業が成長して利益が増えてくると、個人事業主のままでは税負担が重くなっていきます。一般的に年間の利益が800万〜900万円を超えてくると、法人化することで節税メリットが生まれやすいと言われています。
法人化すると、役員報酬を活用した給与所得控除の利用や、社会保険料の経費計上など、個人事業主では使えない節税手段が広がります。ただし、設立費用や維持コスト、事務負担も増えるため、メリット・デメリットをしっかり比較することが大切です。
法人化の節税については、別の記事で詳しく解説予定です。
まとめ
今回紹介した節税対策6選をまとめます。
| 対策 | 特徴 |
|---|---|
| ① 青色申告特別控除 | 最大65万円の控除。まず取り組むべき基本 |
| ② 経費の計上 | もれなく計上するだけで節税になる |
| ③ 小規模企業共済 | 掛金全額控除+退職金の積立 |
| ④ iDeCo | 掛金全額控除+老後資産の形成 |
| ⑤ ふるさと納税 | 実質2,000円で返礼品がもらえる |
| ⑥ 医療費控除 | 家族分まとめて申請で節税 |
節税は「知っているかどうか」で大きな差が生まれます。すべてを一度に始める必要はありません。まずは自分に使えそうなものから、ひとつずつ取り入れてみてください。


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