支払手数料とは?振込手数料・仲介手数料・税理士報酬の区分と源泉徴収

支払手数料とは?振込手数料・仲介手数料・税理士報酬の区分と源泉徴収 法人向け

振込手数料、クレジットカードの決済手数料、不動産の仲介手数料、税理士への報酬——「手数料」と名の付く支出は、たいてい支払手数料で処理します。

ところが、この科目は消費税の扱いがバラバラで、しかも源泉徴収が必要なものが混ざっています。「全部まとめて支払手数料」で済ませていると、消費税の申告や源泉所得税の納付で漏れが出ます。

この記事では、支払手数料になるものの一覧と、消費税・源泉徴収の区分を整理します。

支払手数料とは?

支払手数料とは、取引や手続きの際に、金融機関や専門家などに支払う手数料・報酬を処理する勘定科目です。

区分具体例
金融機関振込手数料、ATM手数料、口座維持手数料、両替手数料、送金手数料
決済サービスクレジットカードの加盟店手数料、電子マネー・QR決済の手数料、代金引換手数料
専門家報酬税理士・弁護士・司法書士・社労士への報酬、コンサルティング料
仲介・紹介不動産の仲介手数料(賃貸)、人材紹介の手数料、販売代理店への手数料
その他各種証明書の発行手数料、ネットショップの出店手数料・販売手数料、システム利用料

税理士や弁護士への報酬は、「支払報酬料」や「顧問料」として別の科目にする会社もあります。どちらでも構いませんが、毎年同じ科目で処理することが大切です。

消費税の区分は3パターン

支払手数料でいちばん間違えやすいのが消費税です。同じ「手数料」でも、課税・非課税が分かれます。

消費税の区分該当するもの
課税仕入れ振込手数料、ATM手数料、税理士・弁護士等の報酬、不動産の仲介手数料、人材紹介手数料、ネットショップの販売手数料、代金引換手数料
非課税カード会社へ直接支払う債権譲渡型の加盟店手数料、信用保証料、行政の手数料(住民票・登記事項証明書などの発行手数料)、外国為替の手数料
契約・請求書により課税または非課税決済代行会社・QR決済事業者への手数料(債権譲渡ではなく「決済代行サービスの対価」なら課税仕入れ)
原則として課税決済端末のシステム利用料・月額利用料
そもそも支払手数料ではない登録免許税・印紙代(租税公課)、借入金の利息(支払利息)

クレジットカードの加盟店手数料は非課税になることが多い

ここが最も見落とされやすいところです。お店がカード会社に支払う加盟店手数料は、消費税が非課税です。

理由は、法律上この取引が「役務の提供」ではなく「金銭債権の譲渡」とされているからです。お店は、お客様に対する売掛債権をカード会社に譲渡し、その対価として手数料を差し引いた金額を受け取ります。金銭債権の譲渡は非課税取引なので、手数料部分も非課税になります。国税庁の質疑応答事例でも、カード会社が受け取る差額は非課税と明示されています。

「手数料だから課税仕入れ」と処理していると、仕入税額控除を取りすぎていることになります。カード決済の多い小売業・飲食業は、会計ソフトの税区分を一度確認してください。

なお、決済代行会社との契約によっては、システム利用料などが課税の役務提供として請求される場合があります。請求書の内訳と税区分を確認するのが確実です。

行政の手数料と登録免許税の違い

役所で払うお金は2種類あります。

  • 手数料(住民票、印鑑証明書、登記事項証明書の発行など)→ 支払手数料・非課税
  • 税金(登録免許税、収入印紙、自動車税など)→ 租税公課・消費税の対象外

行政の手数料は、法令に基づいて国や地方公共団体が徴収するものとして非課税取引に定められています。租税公課との違いは「租税公課とは?経費になる税金・ならない税金の一覧と計上時期」で解説しています。

源泉徴収が必要な支払手数料

支払手数料のなかで、もうひとつ気をつけたいのが源泉徴収です。個人の税理士・弁護士・司法書士などに報酬を支払うときは、支払う側が所得税を天引きして納める義務があります。

支払先源泉徴収税率
税理士・弁護士・公認会計士・社会保険労務士など(個人)必要100万円以下:10.21%
100万円超の部分:20.42%
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士(個人)必要1回の支払額から1万円を差し引いた額の10.21%
税理士法人・弁護士法人・監査法人など(法人)不要—
不動産会社・人材紹介会社など(法人)不要—

ポイントは「相手が個人か法人か」です。同じ税理士報酬でも、相手が税理士法人なら源泉徴収は不要です。請求書の発行者名を確認してください。

また、支払う側が法人の場合は、従業員の有無にかかわらず、個人の税理士や弁護士等への対象報酬について源泉徴収が必要です。給与を支払っていない個人事業主等に認められる例外(後述)は、法人にはありません。

なお、令和9年(2027年)1月1日以後は、防衛特別所得税(1%)が加わる一方、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられます。そのため、税理士報酬などに適用される合計税率10.21%・20.42%は変わりません。

源泉徴収の対象にならない部分

専門家への支払いでも、次のものは源泉徴収の対象に含めなくてよいとされています。

  • 司法書士等が立て替えた登録免許税や証明書発行手数料。請求書で報酬部分と明確に区分され、国や地方公共団体へ納付するための金額であることが明らかな場合は、源泉徴収の対象から除外できます
  • 支払者が直接、交通機関やホテルに支払った交通費・宿泊費で、通常必要な範囲のもの
  • 消費税額。請求書で報酬と消費税が明確に区分されていれば、報酬の額だけを対象にしてよい

逆に、「日当」「調査費」「謝金」などの名目で支払うものは、報酬に含めて源泉徴収します。

納付期限

源泉徴収した所得税は、支払った月の翌月10日までに納付します。納期の特例を受けている場合は、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納付できます。

納期の特例については「源泉所得税の納期の特例とは?7月10日・1月20日納付の対象と注意点」をご覧ください。

支払手数料にしてはいけないもの

「手数料」という名前でも、資産の取得価額に含めなければならないものがあります。

支出正しい処理
土地・建物を購入したときの仲介手数料その土地・建物の取得価額に含める(土地は非償却、建物は減価償却)
機械・車両などの購入に伴う手数料原則として取得価額に含める(一部は損金算入が認められる付随費用もある)
事務所を借りるときの仲介手数料支払手数料(経費)でよい
登録免許税・不動産取得税租税公課(取得価額に含めないことができる)

とくに土地の仲介手数料を支払手数料で経費にしてしまうのは、税務調査でよく指摘されるミスです。土地は減価償却もできないため、いったん資産に計上したら売却するまで経費になりません。

賃貸の仲介手数料・敷金・礼金の処理は「事務所を借りたときの敷金・礼金・保証金・仲介手数料の経理処理」で解説しています。

仕訳の書き方

【例1】振込手数料440円(課税)
(借方)支払手数料 440 / (貸方)普通預金 440

【例2】個人の税理士に顧問料33,000円(税込)を支払う
報酬30,000円・消費税3,000円と区分された請求書の場合、源泉徴収税額は 30,000円 × 10.21% = 3,063円
(借方)支払手数料 33,000 / (貸方)普通預金 29,937
                (貸方)預り金 3,063

【例3】カード売上100,000円から加盟店手数料3,000円が差し引かれて入金
(借方)普通預金 97,000 / (貸方)売掛金 100,000
(借方)支払手数料 3,000(非課税)

よくある質問

売上の入金時に振込手数料を引かれた場合はどうしますか?

取引当事者の合意により、売手が振込手数料相当額を負担する場合は、消費税上「売上げに係る対価の返還等」として処理する方法と、金融機関等に対する課税仕入れとして処理する方法があります。単なる入金不足を自由に売上値引きにできる、という意味ではありません。

課税仕入れとして処理する場合は、原則としてインボイスの保存が必要です。一方、売上値引きとして処理し、その金額が税込1万円未満なら、返還インボイスの交付は不要です。なお、会計上の科目を「支払手数料」にしたまま、消費税上は「売上げに係る対価の返還等」として処理することもできます。

源泉徴収を忘れて全額払ってしまいました

源泉徴収は支払う側の義務なので、忘れていても納付義務はなくなりません。気づいた時点で本来の税額を納付し、相手に事情を説明して次回以降の支払いで調整するか、返金してもらうのが一般的です。納付が遅れると不納付加算税や延滞税がかかることがあります。

ネットショップの販売手数料は?

Amazonや楽天などのモール出店手数料・販売手数料は、支払手数料・課税仕入れです。売上から差し引かれて入金される場合も、売上は総額で計上し、手数料を別途経費に計上します。

個人事業主でも源泉徴収は必要ですか?

個人事業主でも、従業員を雇って給与を支払っている場合は源泉徴収義務者になるため、税理士等への報酬からも源泉徴収が必要です。一方、従業員がおらず、常時2人以下の家事使用人だけの場合は源泉徴収義務者にならず、報酬からの源泉徴収も不要です。

まとめ

  • 支払手数料は、金融機関・決済サービス・専門家・仲介などへの手数料をまとめる科目
  • 消費税は課税・非課税が混在。クレジットカードの加盟店手数料・信用保証料・行政の手数料は非課税
  • 個人の税理士・弁護士・司法書士等への報酬は源泉徴収が必要。相手が法人なら不要
  • 司法書士等は1万円を差し引いてから10.21%
  • 土地・建物の購入時の仲介手数料は取得価額。経費にしない
  • 登録免許税・印紙は租税公課、借入利息は支払利息

「手数料」とひとくくりにせず、消費税と源泉徴収の2点だけ確認する習慣をつけると、申告のミスが大きく減ります。判断に迷うものがあれば、お気軽にご相談ください。


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参考

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