決算賞与で節税|損金算入の3つの要件と役員への注意点

法人向け

決算期末が近づき「思ったより利益が出そうだ」というとき、有効な節税策の一つが決算賞与です。従業員に賞与を支払うことで、その全額を損金(経費)に算入でき、法人税を抑えることができます。ただし、損金として認められるには一定の要件を満たす必要があります。

決算賞与とは

決算賞与とは、決算期末に合わせて従業員に支給する賞与のことです。通常の定期賞与(夏・冬のボーナス)とは別に、その期の業績に応じて支払われることが多く、「業績賞与」とも呼ばれます。

従業員への賞与は、支給時または一定の要件を満たす未払計上により損金算入できるため、利益が多く出そうな期末に支給することで、法人税の課税対象となる所得を圧縮する効果があります。

なぜ節税になるのか

法人税は「益金-損金」で計算される課税所得に対してかかります。決算賞与を支給することで損金が増え、課税所得が減るため法人税が少なくなります。

【計算例】当期の利益が500万円見込まれる場合に、200万円の決算賞与を支給すると:

  • 課税所得:500万円 → 300万円(200万円圧縮)
  • 法人税(実効税率30%の場合):150万円 → 90万円
  • 節税額:約60万円

損金算入の3つの要件(重要)

決算賞与を当期の損金として計上するには、法人税法基本通達9-2-43に定める以下の3要件をすべて満たす必要があります。期末までに支払いが間に合わない場合でも、要件を満たせば「未払費用」として当期に損金算入できます。

  • ①支給額を各人別に確定し、書面で通知すること:賞与を受け取る従業員全員に対して、支給額を個別に明記した書面(通知書)を期末までに交付する必要があります。
  • ②通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に、通知したすべての従業員へ支払うこと:たとえば3月決算法人の場合、4月末までに全員へ支払う必要があります。この期限を超えると翌期の損金となります。資金繰りに注意が必要です。
  • ③当期の費用として損金経理すること:期末時点で未払いの場合は、「未払賞与」として当期の決算に計上する必要があります。

役員への決算賞与は損金不算入

役員への賞与(役員賞与)は、原則として損金算入できません。役員給与は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかに該当しなければ損金不算入とされており、期末に突発的に支払う決算賞与はこれらに当たらないためです。

役員へ賞与を損金算入したい場合は、事前確定届出給与として事前に税務署へ届け出る必要があります。決算期末に急きょ決めた場合には間に合わないため、注意が必要です。詳しくは役員賞与で節税|事前確定届出給与の仕組みと届出の注意点をご参照ください。

注意点

  • 資金繰りへの影響:事業年度終了の翌日から1か月以内に支払い義務が生じます。節税効果はあっても、手元資金が減ることを踏まえて支給額を決定しましょう。
  • 社会保険料の追加負担:賞与には社会保険料(健康保険・厚生年金)がかかります。会社負担分も増えるため、実質的なコストを考慮する必要があります。
  • 通知書の保存:税務調査に備え、各人への通知書(支給額・通知日が記載されたもの)を必ず保存しておきましょう。
  • 支給対象者の範囲:支給対象者を明確にし、通知した従業員には通知額どおり全員へ支払う必要があります。

まとめ

決算賞与は、期末の利益が確定しそうな段階で機動的に活用できる法人節税策です。従業員への還元と節税を同時に実現できる点が大きなメリットです。ただし、3つの要件(書面通知・1か月以内の支払い・損金経理)を漏れなく満たすことが必須です。

要件を満たせるか、資金繰りに問題がないかを事前に確認したうえで、顧問税理士と相談しながら進めることをおすすめします。

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