iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金の上限が、2026年12月分の掛金(2027年1月26日引落し分)から引き上げられます。会社員で企業年金がない方は、月2.3万円から月6.2万円まで掛金を増やせるようになります。
ただし、上限が上がっても掛金は自動的には増えません。増やしたい方は、加入している金融機関で掛金額の変更手続きが必要です。しかも、金融機関によっては事前受付の締切が10月末と迫っています。この記事では、増額の手続きと期限、変更回数の特例、節税効果を解説します。
※ 本記事は2026年10月13日時点の情報です。手続きの方法や期限は金融機関ごとに異なるので、必ずご自身が加入している金融機関の案内を確認してください。改正の全体像は「iDeCo改正2026」で解説しています。
新しい掛金の上限(月額)
| 加入者の区分 | 現在 | 2026年12月分から |
|---|---|---|
| 第1号(自営業者・フリーランスなど) | 68,000円 | 75,000円 |
| 第2号・企業年金なし(会社員) | 23,000円 | 62,000円 |
| 第2号・企業年金あり(企業型DC・確定給付企業年金など)、公務員 | 20,000円 | 62,000円から、企業型DCの事業主掛金額とDBなどの他制度掛金相当額を差し引いた額 |
| 第3号(専業主婦・主夫など) | 23,000円 | 23,000円(変更なし) |
| 第4号(国民年金の任意加入者) | 68,000円 | 75,000円 |
第1号・第4号の上限は、国民年金基金の掛金や国民年金の付加保険料と合算した金額です。企業年金がある会社員の方は、月6万2,000円から、企業型DCの事業主掛金額と、確定給付企業年金(DB)などの他制度掛金相当額を差し引いた金額がiDeCoの上限になります。掛金は月5,000円以上、1,000円単位で設定するため、残りの枠が5,000円未満の場合は、原則として拠出できません。勤務先に確認しましょう。
あわせて、60歳以上70歳未満の国民年金被保険者ではない方のうち、iDeCoの加入者・運用指図者だった方や、企業年金からiDeCoへ資産を移換する方などは、「第5号加入者」として掛金を拠出できるようになります。老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないことなどが条件で、上限は原則月6万2,000円です。なお、2029年11月30日までは、加入対象を広げる経過措置があります。
増額手続きの主な方法
金融機関によっては、次の3つの方法が用意されています。ただし、利用できる方法や期限は金融機関ごとに異なります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| ① 書面の事前受付 | 12月の施行前に、専用の「加入者掛金額変更届」を郵送する。金融機関によっては、締切が10月末に設定されている |
| ② e-iDeCo(オンライン) | 12月1日以後に、国民年金基金連合会のオンライン手続きで変更する。マイナンバーカードが必要。初回は利用申込み(アカウント登録)が必要 |
| ③ 書面の通常手続き | 12月以後の変更届を書類で提出する。1月引落し分に間に合わせるための締切が設けられている |
例:SBI証券の場合
| 方法 | 期限 | ポイント |
|---|---|---|
| 書面の事前手続き | 2026年10月30日(金)SBI証券必着 | SBI証券のページから「加入者掛金額変更届【令和8年12月施行事前受付専用】」と返信用ラベルをA4で印刷して郵送。通常の変更届は使えない |
| e-iDeCo | 2026年12月1日(火)〜12月24日(木) | マイナンバーカード(電子証明書が有効なもの)が必要。アカウント登録は今からできる。期間内に手続きしても、ほかの届出との関係で1月26日の変更に間に合わない場合があると案内されている |
| 書面の通常手続き | 10月下旬から書類を請求し、12月11日(金)必着 | 事前手続きに間に合わなかった場合 |
いずれの方法でも、2027年1月26日の引落し分(2026年12月分の掛金)から新しい金額が適用されます。他の金融機関(銀行・証券会社)で加入している方も、締切が近い可能性があるので、早めに案内を確認してください。
手続きは1つの方法だけで
SBI証券では、同一期間に書面とe-iDeCoなどで複数回申請すると、国民年金基金連合会が最初に受け付けた申請で手続きが進み、申請後の取消し・変更はできないと案内しています。二重に申請せず、1つの方法で手続きしましょう。他の金融機関についても、それぞれの案内を確認してください。
「年1回まで」の変更回数の特例
iDeCoの掛金額の変更は、原則として毎年12月分から翌年11月分までの間に1回までです。ただし今回は、制度改正に伴う事前受付分から2027年11月30日までの間に、改正前の上限を超える金額へ初めて増額する一定の変更は、この1回に数えない経過措置があります。
たとえば、会社員(企業年金なし)が掛金を24,000円以上62,000円以下に増やす場合は、特例の対象です。今年すでに掛金を変更している方でも増額できる可能性があります。企業年金がある方や公務員は判定方法が異なるので、金融機関の一覧表などで確認してください。
増額するといくら節税になる?
iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。会社員(企業年金なし)が掛金を月2.3万円から6.2万円に増やすと、年間の掛金は27.6万円から74.4万円になり、所得控除が46.8万円増えます。
| 所得税率(課税所得の目安) | 住民税 | 年間の節税額の目安(46.8万円の増額) |
|---|---|---|
| 5%(195万円以下) | 10% | 約7万円 |
| 10%(195万円超330万円以下) | 10% | 約9.4万円 |
| 20%(330万円超695万円以下) | 10% | 約14万円 |
| 23%(695万円超900万円以下) | 10% | 約15.4万円 |
※ 復興特別所得税は考慮していない概算です。
控除を受けられるのは「支払った年」
掛金は、実際に支払った年の所得控除になります。2026年12月分の掛金は2027年1月に引き落とされるので、2027年分の控除になります。2026年分の年末調整や確定申告には影響しません(1月26日に正常に引き落とされたことが前提です。残高不足などで引き落とせなかった月の掛金は、控除の対象になりません)。
会社員の方は、毎月の給与から天引きせずに口座から引き落とす「個人払込」の場合、年末調整で「小規模企業共済等掛金払込証明書」を提出します。この証明書は、国民年金基金連合会から毎年秋ごろに届きます。
増額する前に確認したいこと
- iDeCoの資産は、原則として60歳まで引き出せません。生活費や教育費など、近いうちに必要なお金まで回さないようにしましょう
- 受け取るときは、一時金なら退職所得、年金なら雑所得として課税されます。退職金と受け取る時期が近いと、退職所得控除の重複の調整があります
- 自営業者は、小規模企業共済や国民年金基金との組み合わせも含めて、掛金の配分を考えましょう
- 所得が少なく、所得税・住民税がもともとかからない方は、掛金を増やしても節税効果はありません
まとめ
- iDeCoの上限は2026年12月分(2027年1月26日引落し分)から引上げ。会社員(企業年金なし)は月6.2万円、自営業者は月7.5万円
- 掛金は自動では増えない。金融機関で変更手続きが必要
- 利用できる方法と期限は金融機関ごとに異なる。SBI証券の書面の事前手続きは10月30日必着、e-iDeCoは12月1日〜24日
- 書面とe-iDeCoの二重の手続きはしない(SBI証券では最初に受け付けた申請で進み、取消し不可)
- 事前受付分から2027年11月30日までの初めての増額は、年1回の変更回数に数えない経過措置あり
- 増額分の控除は2027年分から。会社員(課税所得330万円超)なら年14万円程度の節税も
あわせて読みたい
- iDeCo改正2026|拠出限度額引き上げ(自営業者75,000円・会社員等62,000円)をわかりやすく解説
- 個人事業主こそiDeCoがお得!節税効果と始め方をわかりやすく解説
- 退職金の税制|退職所得控除の仕組みと節税効果をわかりやすく解説



コメント